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【HowTo】ジオメトリー表の賢い読み方 ~フレーム・リーチという概念~

ロードバイクにおいてスローピングフレームが一般的になって以来「フレームサイズ選びには水平換算のトップチューブ長が大切」と盛んに言われるようになりました。それは勿論その通りなのですが、ここで大事なことを見落としている人が意外と多いような気がします。雑誌や解説本などで触れられないのが不思議なくらいの重要ポイントなのですが。

ここで例としてDE ROSAのKING3とBHのG5という2つのフレームを採り上げます。2台ともインテグラルシートポスト(延長シートチューブ)で前者が58、後者がSmallと呼ばれる僕が乗れそうなサイズを選んでみます。

frame_reach.jpg
クリック拡大

 トップチューブ長(O)シートチューブ長(P)ヘッドチューブ長(Hs)シート角(Sc°)
KING3(58)52558011574.75
G5(Small)54060012073

さてこの2台のジオメトリー(スケルトン)を見て、どちらがより「大きいフレーム」だと思いますか? 水平トップ長が525と540だから当然G5の方が大きい? 雑誌に書いてあることそのままだとそう見えますね。シートチューブもヘッドチューブもKING3の方が少し短いから当然小さい? それは確かにそうかも。
では少し要素を増やしてみましょう。

 トップ長(O)シート長(P)ヘッド長(Hs)シート角(Sc°)フレームセットバック(Sc)フレームリーチ(FR)
KING3(58)52558011574.75[134][391]
G5(Small)54060012073[149][391]

おっと見慣れない用語を使ってしまいました。メーカーによっては近い言い方をしている所もありますが、呼称が定まっていないので造ってみた次第。

フレーム・セットバックとは上の図で言うと「Sc」。つまり水平換算トップチューブ長「O」のうちBBを通る鉛直線よりも後ろの部分を指します。ホリゾンタル換算の芯~芯シートチューブ長「Pcc」とシート角「Sc°」から三角関数で求められます。メーカーによって公表している所としていない所があり、今回の2台については未発表なので仮想の芯~芯を510mmとして算出し一応カッコで括ってあります。(メーカーによってはスローピング部分のセットバック「Scs」を公表していたりするので注意)

フレーム・リーチ「FR」とは水平換算トップチューブ長「O」のうちBBを通る鉛直線よりも前の部分を指します。トップ長「O」からフレーム・セットバック「Sc」を引いた数値です。これが今回の一番大切なポイント。試験に出ますよ!

では、このフレーム・リーチとは一体どういう意味を持つのか。

我々がロードバイクのポジションを決定する時、まずサドルの位置から始めます。BB~サドルトップの高さとBBを通る鉛直線からのサドル後退量(たまにサドル後退量をシートピラーやシートチューブから考えて勘違いしている人が居ますね)。それからハンドルの位置をサドルとの落差や距離を含めて決定します。そしてこれらの数値はフレームを乗り換えても基本的に同じにします。

極端な言い方をすれば「ある人のある時点における理想的なBBとサドルの位置関係はどんなフレームだろうと不変」なのです{注1}。「シート角に関わらずとるべきサドル後退量は一定」と言い換えても構いません。シート角やシートポストのオフセット量やサドルレールの長さといった外的要因から取付位置が制限を受けてしまう可能性はあります。しかし、フレームのシート角によって自分のサドル位置が大きく変動するなんて本末転倒もいいところなのです(TTバイクなど用途が違う場合は除く)。あ、もちろん同じサドルの場合ですよ。

従ってトップチューブ長のうち、BB鉛直線より後ろの部分(フレーム・セットバック)はフレーム前後方向の大きさに関しては直接的には意味がありません。そこが長かろうと短かろうとBBから数十センチ上方で且つ数センチ後方にある三次元空間上の理想的な或る一点にサドルは固定されます。シート角が立っていればレールの前部でクランプしたりオフセットの大きなピラーを使ったりして「シートチューブに対して」サドルを引いているように見えるかも知れないし、シート角が寝ていればレールの後ろよりでクランプしたりオフセットゼロのピラーを使ったりするかも知れない。それだけのこと。
BB鉛直線より前のトップチューブ長を表すフレーム・リーチこそがポジション的にフレーム前後方向の大きさを規定する第一の要素なのです。その上でハンドルの遠さはフレーム・リーチ、ステム長、ハンドル落差(スタック)等のトータルで決定されます。

以上を理解した上で改めてジオメトリ表を見てみると、KING3はトップ長525mmでシート角が74.75度(74度45分)と立ち気味なのでセットバックが小さく134mm、525-134でリーチは391mm。G5はトップ長540mmでシート角が73度と寝ておりセットバックが149mmと大きく、540-149でリーチは391mm。…フレーム・リーチが同じ数値になってしまいました。実はBBから前半分の大きさは2台ともほぼ一緒だったのです。
つまり、シート角に惑わされず同じサドル高・サドル後退量にセットすれば、一見大きさが違うように見えたこの2台も、同じステム長で同一のポジションが再現できるはず。あくまで計算値なので実測では多少の誤差が出る可能性はありますが。

また、1.75度もシート角が違うこの2台で同じサドル位置にセットできるのか、と疑問に思われる方が居るかも知れません。この辺のサイズでシート角が1.75度違うとシートチューブ延長線とサドルレールの交わる場所が2cm程度ズレるのですが、DE ROSA KING3は2cm強のオフセットピラーが付属しBH G5にはほとんどオフセットのないピラーが付属、という具合に上手く出来ているワケ。(ただしDE ROSAのISPは調整幅が狭いので実際にはサドル高の都合で60サイズを選ぶかも)

まぁ雑に言ってしまえばジオメトリー(スケルトン)を読む時にはトップチューブ長とシート角をセットで考えましょうという話です。この事を理解しているとフレームの大きさ(長さ)を見かけのトップ長に惑わされずに、ステム等で調整可能な範囲なのかどうか比較検討することが出来るようになります。そして、次のフレームはフレームリーチが1cm短いから1cm長いステムを用意しなきゃな、というようなことも組んでみる前から分かるようになります。
あとは自分にとって適正なハンドル落差を実現するヘッドチューブ長を、BB下がり(BB地上高)の違いを考慮しつつ選択すればOK。こちらがいわゆるスタックですね。ホリゾンタルフレームならシートチューブ長もやっぱり気になりますけど。

最後にトップ長とシート角とフレーム・リーチの関係を簡単にまとめてみると、ホリゾンタル換算でシートチューブ芯~芯510mm程度・トップチューブ長530mm前後の場合…

・シート角74.5度でトップ長525mm
・シート角74度でトップ長530mm
・シート角73.5度でトップ長535mm
・シート角73度でトップ長540mm

…この辺はリーチがほぼ等しくなる同サイズと言えると思います。(当然BBからのサドル後退量が一定の場合)


{注1}ペダリングスキルの向上や筋肉の発達によっても変わるよ~とか、フレームの剛性や癖によってもサドル位置を変えるよ~とかという話は、今回はサイズの話なので割愛してます。ご了承ください。


※関連記事→ポジション考 ~96.5%~
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コメント

なるほど

これは「驚き」です。 ぜんぜん気がつきませんでした、なるほどね~(^^♪。

  • 2009/10/18(日) 06:13:23 |
  • URL |
  • へばな #-
  • [ 編集]

Re: なるほど

理解できる人には意味があるテーマ、ということで。自分でスケルトンを描いてみるとすぐ分かると思うのですが…
今までどうして誰も説明しようとしないのか不思議だったのですが、今回書いてみてその理由が分かりました。
文章で説明するのが非常に面倒くさいからですね(笑)

  • 2009/10/18(日) 17:36:21 |
  • URL |
  • 木熊 #leF2ecbc
  • [ 編集]

外通りですね。

フレームサイズはリーチとセットバックを記載するべきです。
ずっと気になっていました。
結局の所、小さいサイズになればなるほど、かなりシートアングルが立ってくるから、いつもサイズがあまり変わらない、と思っていました。
サーベロみたいにシートアングルを1種類にできないものなんでしょうかね、そしたらトップチューブ長で判断できるのに。
設計の意図が分かれば良いんですが、それもよく分からないメーカーが多いです。

  • 2012/10/02(火) 10:53:20 |
  • URL |
  • オルベア #-
  • [ 編集]

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