回転木熊のグルペット

真紅のWilierにまたがって栃木の田舎道をぷらぷらしています。

阿部 和重「シンセミア」

阿部和重が知らぬ間に大化けしたっぽい。

2003年秋発行の「シンセミア」の読後感です。

阿部和重と言えば、"J文学"というこっぱずかしいラベリングを河出にされつつヒットした「インディビジュアル・プロジェクション」にしても、近著の「ニッポニアニッポン」にしても、"一個人の妄想超特急"なのが特徴だったと言えます。

それが今回の「シンセミア」では、"町ぐるみの妄想超特急大暴走"にまで進化(?)しています。ラスト4分の1が例によって狂騒大団円の様相を呈すのは予想通りとはいえ、ここまで来るとちょっと凄いな、と思いました。

一言で言うと「戦後日本の地方都市に於ける共同体、その光と影のゲシュタルト崩壊を描く」。

筒井康隆や町田康や赤坂真理のようにゲシュタルトの崩壊した感覚そのものを文章で描写したという意味ではなく、比喩的に、ですが。

フリージャズのアルバムを聴き通した時の充足感と虚脱感、そういうのを味わえるなかなかの力作。

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