回転木熊のグルペット

真紅のWilierにまたがって栃木の田舎道をぷらぷらしています。

伊藤 礼「自転車ぎこぎこ」

「自転車ぎこぎこ」伊藤 礼 著(平凡社・2009・単行本)

・「こぐこぐ自転車」が好評を博した伊藤礼センセイの自転車エッセイ第二弾。
・前作から4年が経ってセンセイのサイクルライフはますます充実。DAHONのヘリオスSLという10kg未満の折り畳み自転車にまたがって(或いは肩に提げて)日本全国を走り回っておられる模様。自転車乗りとしてもベテランの風格が出てきて、以前は国土地理院の地形図じゃなくっちゃ、とか言ってたのに今では100円ショップの格安地図一枚でどこへでもホイホイ出向くようになってしまった。
・「こぐこぐ」が出た時に内田百の「阿房列車」に準える論評が散見されたが、前作は都内をウロウロするにも北海道を走るにもいちいち大袈裟に力んでいるのが文章にも表れていて、あまりピンと来るものではなかった。阿房たるにはたとえ本人が力んでいても端から見ると程よく脱力して飄々と見えることが肝要。その点「ぎこぎこ」は旅の語り口も旅そのものも良い意味で力が抜けてきて、いよいよ「阿房自転車」の様相を呈してきたと素直に感心することしきり。ヨコチ君やタムラ君がだんだんヒマラヤ山系君に見えてきてしまったのは僕だけではあるまい。
・とくに「すでに自転車の楽しみを知っている人」には前作よりも今作の方を推賞したいのである。

★★★★☆


※「こぐこぐ自転車」伊藤 礼 著(平凡社・2005・単行本)★★★☆☆

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