回転木熊のグルペット

真紅のWilierにまたがって栃木の田舎道をぷらぷらしています。

ビル・ブライソン「人類が知っていることすべての短い歴史」

天文学から量子力学、地学、古生物学、古人類学、果ては分類学に至るまで、これまで人類が挑んできた科学の「さわり」が厚さ5cmほどのちょっと持ち重りのする本に収められている。

広範な科学の研究成果が、我々にも著者自身にも(ココ重要)理解出来るように紹介されているので、科学方面へ興味は抱きつつも数式に拒否反応が出てしまう我々文系人間のワガママな知的好奇心を十二分に満たしてくれる。

と言っても「先端科学の最新情報を網羅して一覧にしました」といった雰囲気のものではなく、書名にある通り人類がそれを知るに至った(あるいは知るに至れていない)歴史を変人揃いの科学者を通じて描いている面も多く、それだけでも楽しめること請け合い。

これだけの事実を調べ、文献を読み漁り、専門家に話を聴き、自分なりに理解し、分かりやすく書き、確認をとって仕上げる、という途方もない作業量を思うと気が遠くなってクラクラしてくるのは僕だけではあるまい。

元々旅行記作家である著者は、各地で出会った現役の研究者にとりわけ興味を惹かれたように見える。以下に著者と現役研究者とのやりとりを本文から2箇所引用する。

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「だからこそ、ひとつの植物種を四十二年かけて研究する人間が、格別新しい成果を出さなくても尊ばれるんですかね?」
「そうですとも、まさにそのとおりです」フォーティはわが意を得たりという顔で答えた。
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「完璧に謎です」ジラニ・ンガリはそう言って、顔を輝かせた。
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未知へと向かう人間のココロの動きこそが科学なのだ、と著者は確信したに違いない。

「たったの600頁、もっと読んでいたい」一冊である。

★★★★★
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